なぜ?システム導入が失敗してしまう理由と対策をエンジニア・クライアントで分けてまとめました
今から十年ほど前はシステム導入の成功率が約26%でした。
近年そのシステム導入成功率が約50%ほどとなっています。パーセンテージで考えると上がっては来ていますが、いまだに半数のシステムは失敗してしまうということになります。
なぜ失敗してしまうのか?
今回は企業のシステム導入が失敗する原因と対策を「システムを作成するエンジニア側」と「システム作成をお願いする企業側」でそれぞれ見ていきたいと思います。
エンジニア側のシステム開発が失敗してしまう理由
現実的ではない納期で契約をした
これは自分がエンジニアなので感じる部分なのですが、まずどう考えても厳しい納期で契約をしてきたパターンです。
こうなると質より量という仕事をしなければいけませんし、いくら技術を持っている方でも目が回りそうな忙しさの中業務をこなしていれば必然的に仕事のパフォーマンスが下がります。
そうなるとなんとか納期には間に合わせたもののバグだらけで修正に時間がかかり結局納期に遅れてしまう…ということが多くなります。
一度完成させたものをまた変えていく、修正していくという作業は普通に構築するよりも時間がかかってしまいます。
納期にある程度の余裕を持たせればそういったこともなくスムーズに業務が回りますが、納期がシビアすぎることによって品質がガタガタのシステムになってしまい、結局クライアントが導入をあきらめる。
という最悪なシナリオが完成します。
こうならないために…
こうならないためにどうすればいいのか…
簡単なことで
「自分たちが品質を保ちながらシステムを完成させる納期は提示していただいた納期では”無理”です」
と言うことです。そこで”厳しい”や”難しい”というあいまいな言葉を使うのは営業としては正しいのかもしれませんが、それでは最終的に相手企業の為になりません。
”無理”なものは”無理”とはっきりと言い。その代わり
「ここまでの機能ならそちらの納期に合わせられます!」
というような交渉をすることでエンジニアが疲労困憊になりシステムがガタガタになるリスクを減らすことができます。
クライアントの要望をくみ取りすぎている
クライアントの要望を
「はい喜んでー!!!」
とすべてOKしてしまうと、エンジニアの不満が溜まります。それだけではなく、
いいもの+いいもの=もっといいもの
ではないので、すべてのクライアントの要望をかなえたシステムを作ると、機能が多くて使いずらい、重いシステムが完成します。
こうなってしまうと
「なんでこんなに使いずらいんだ!!!話が違うじゃないか!」
「いやいや!そっちがやってほしいって言ったんでしょ!!!」
とどちらも責任を押し付ける泥仕合になってしまいます。
しかし、最終的には仕事を請け負った”プロフェッショナル”であるエンジニア側が悪いことになってしまいます。
こうならないために…
クライアントの要望はあくまで意見と考えるべきです。
クライアントには最終的にこうなりたい・こうしたいというビジョンがあります。
例えば
- この機能をメインで使いたい
- システムを導入することで自社の工数を減らしたい
- 納期だけは絶対に厳守してほしい
というような部分です。
どうしても打ち合わせですと全体的な話よりも機能などの部分部分での話になると思います。
なのでクライアントはその部分での話をしているわけで、システム全体を見据えての発言ではないんです。
なので、最終的に何が目的なのかをクライアントに理解してもらい
「今はそこに注力すべきではないのではないか?」
という部分を優しく指摘しましょう。それだけではなく、
「こちらの機能を付けると、より使いやすくなりますよ」
といった提案を交えて、あくまでクライアントの目線に立っての提案を行うことで、相手の気分を害することなく自分たちがやりやすい方向に話をもっていくことができます。
2次請け3次請けと体制が複雑
1つのシステムを作るのに何社ものシステム会社が作っている。これもシステムが失敗する原因です。
結局伝えたいことも伝言ゲームになってしまうので、正確な情報が行き来しずらいという部分と、提供してほしい情報や素材がいつまでたっても来ない…。
そしてそこで割を喰うのは末端のシステム会社です。
ほんとにこれは社会人云々ではなく人間的な部分で、
待っているのにいつまでも来ない。来たと思ったら納期は後ろにずれていない。
この状況でしっかり仕事をこなせる人。しっかりこなさないと…と思う人はほぼいないと思ってください。
- 「ふざけんなよ!」
- 「なんでこんなぎりぎりにきて納期変わらないとかいってんだよ!」
- 「来た情報もなんかずれてるしさ!それで質問するとまた何日も待たされるんでしょう?」
こんな状況でいいシステムなんてまずできるわけがないでしょう。
こういった背景がありシステムはどんどんコードが迷宮入りしてきます。
クライアントも規模が大きいシステムなので、引くに引けなくなり多くのエンジニアが苦しい思いをしながら作業をすることになります。
こうならないために…
基本的に1社で完結させるのがいちばんなのですが…外注や協力会社を使うにしても情報の行き来はスムーズに行う。これは鉄則です。
そして、これはすごく単純なんですが、大きなシステム案件に携わっている方を”一人の人間”であり感情があるのだと認識することです。
ヒアリングを行う、人材の時間配分や不満がたまらない体制を作ることが非常に大事です。
エンジニアが企業に対して共感していない
クライアントが行いたいことに対してエンジニアが共感していないと、クライアントの意図を正確に読み取ることができません。
もっといいシステムを!
もっと使いやすいシステムを!
というような形で”納期”の範囲内でエンジニア側も提案していくことでよりよいシステムを作ることができます。
これを作ってどうするんだ?
これって本当に意味があるの?
とエンジニアが感じたまま構築してしまうと共感して構築したシステムと比べると質が大きく変わるでしょう。
こうならないために…
事業や企業に共感できるような共感力のあるエンジニアに構築をお願いする必要があります。
例えばですが、システム会社の従業員とフリーランスとして活躍しているエンジニアでは共感力に大きな差があります。
アプトリーではフリーランスとして活躍する共感力の高いエンジニアに登録していただいています。
クライアント側のシステム開発が失敗してしまう理由
システムを導入する目的があいまいで社内で共有されていない
システムというのは決まったものに大して決まった動きをするので、システムを導入したいと考えている企業の目的がブレブレですと、それを落とし込むのに非常に時間がかかります。
そしてその目的のためになにが必要なのかを社内でまず理解しておかないと、システムを導入したはいいけれどもうまく扱えない。という状態になり失敗します。
そしてシステム導入の話が社内でしっかりと共有されていないと、失敗する可能性が非常に高くなります。
例えば製造業でシステムを導入するとして、会社の上層部の方だけの話で要件を決めてシステムを作ってしまうのは非常に危険です。
現場の方にも共有しないと
「こういうときにどうすればいいの?機能付いてないじゃん!」
「現場の流れ的に使いずらいよ!」
といったことが起きてしまう可能性があります。
こうならないために…
まずはシステムを導入する目的をはっきりさせ、その目的を社内の共通認識にさせましょう。
そして目的をぶらさずにどうすればその目的が達成できるのかをシステム会社の方と相談しましょう。
定期的に現場の方にも理解してもらえるように勉強会を開くなどして、システムを導入することのメリットを伝えましょう。
システム会社に任せきりでシステムが完成すると思っている
ある程度要望を伝えればあとは勝手にやってくれるんでしょ?
というようなシステム会社に任せきりにしようと考えているクライアントのシステムは基本失敗します。
システム開発はシステム会社もクライアントも協力しあって作るものです。
お任せします。というような形で話し合いが進んでしまうと自分たちの意図していないシステムになってしまい後々後悔してしまいます。
こうならないために…
打ち合わせは細かに行いましょう。
そして作成中のシステムを理解できる(コードなどではなく仕様の話)方を専任で設けましょう。
あとからの仕様変更が多い・回答があいまい
「この場合はどういう処理を行いますか?こういった場合も中にはありますか?」
などのシステム会社の質問にたいして
「そういう場合も…ある”かも”しれません…」
「”多分”それで大丈夫です。」
「んー…まぁ…それで大丈夫だと”思います”」
といった回答が多いと、なにがしたかったのかわからないような、汎用的なシステムを契約すればよかったんじゃないの?状態になってしまう可能性があります。
あとからの仕様変更が多いと、時期によっては大改修騒ぎになってしまい、とてもじゃないけど払えないといった金額まで膨れ上がってしまい失敗ということもあります。
「実はこういった場合もなかにはありました…」
「この会社さんの場合はフォーマット変えてほしいんですが…?」
「やはり会社ごとにデータを持たせてもらった方が自社のニーズに合っていました…」
等が要件定義の段階や制作初期段階ならカバーできたとしても、あらかた完成してしまった時期に上記のようなことが起こると追加工数として請求されることが多いでしょう。
こうならないために…
社内でどういった機能が必要でそのデータはどこに紐づくと適正なのかを自社内でも打ち合わせを行い、精査していきましょう。
そしてシステムを既存のやり方に合わせるのではなく、システムを導入することで例外を起こさないような業務体制を作るということを意識しましょう。
例えば
一社だけたまに頼まれて製品をただであげてしまう。
この処理だけは消費税なしで!でも変えられるように。
のように一部だけの例外に合わせてシステムを構築するよりも、健全な業務体制を作ることの方が大事なので、システム導入をきっかけに今のやりかたを見直すという必要もあるでしょう。
ということで今回はシステム導入が失敗してしまう原因と対策をご紹介しました。
アプトリーではシステム導入失敗をなくすために共感力、コミュニケーション能力、技術力に長けたエンジニアをご紹介することが可能です。
ぜひ興味がある方は下記にありますURLをクリックするか、画面右下のチャットからご連絡していただければと思います。