IT人材採用の一般的な課題
現代では、様々な業務がシステム化され、IT人材の需要は高まっています。プログラミングスクールは大盛況となり、日々新しいIT人材が世に輩出されていますが、IT業界では人材不足や優秀な人材の採用に悩む声も多く聞こえてきます。
今回はIT人材採用の現場で何が起こっているのか、現役のエンジニア採用担当者の立場から実情をお伝えします。
課題1.優秀な人材が転職市場に出回りにくい
従来から続くIT人材採用における大きな課題の一つです。IT業界では、優秀な人材の引き抜きやリファラる採用で囲い込みを図るケースが多く、転職サイトを利用した転職市場に経験値の高い人材が出回りにくい傾向にあります。
また、転職によって経験値を蓄積していくことがセオリーとなっており、待遇の向上も見込めることから、経験値のある優秀な人材ほど有名企業を転々とする傾向にあります。これを踏まえても、企業規模の小さい会社は優秀な人材を獲得しにくい環境に置かれていることがわかります。
ただ、IT業界では風通しのよさや自由な働き方を求めてスタートアップ企業を志望する人も一定層います。そのため、自社の良さをうまくアピールできれば、企業規模が小さくても、応募人数を増やすことができ、優秀な人材を獲得するチャンスは大いにあります。
課題2.採用担当者の知識不足
IT人材採用において、これまでの経験や習得した技術を正確に把握することはとても重要です。経験者の場合は特に待遇も企業選定における重要な判断基準となることが多いため、企業は応募者の適切な市場価値を判断した上で提示できる待遇を決定する必要があります。その判断のためには、これまで携わってきた案件でどのフェーズから参画し、どのような技術を身に着けたか、正確に把握することが必要です。
しかし、技術や労働環境などは実際にエンジニアを経験していないとわからない点も多くあります。また、知識はあっても「共感」がないために、採用選考で重要な情報を応募者から聞き取るることが難しい、といったケースもあります。
近年では、未経験者でもプログラミングスクールで学んでいたり、自身でハッカソンなどのイベントに参加して技術を身に着けたりと、面接に至るまでの経験は多種多様です。面接では、そういった話題に理解や共感を示し、応募者の描くキャリアや潜在的なスキルを見極めねばなりません。
これらのことを踏まえると、エンジニア経験者が採用を担当することが一番の解決策のように思えますが、採用業務には採用業務の必要なスキルがあるため、エンジニアが採用業務へキャリアチェンジするケースは稀です。企業によっては、現役エンジニアを採用アシスタントとして兼務させ、意見を収集する、あるいはインターン期間を設け、現役エンジニアと交流もしくは仕事を共にしてもらい、意見を収集する、等の工夫をしているようです。
採用担当者のみに判断を任せるのではなく、現場の意見を聞ける体制を整えることも、課題解決の一つかもしれません。
課題3.フリーランスエンジニアの増加
今では「フリーランス」という働き方も主流となりました。エンジニアとして一人称で仕事ができる優秀な人材は尚更、働く場所や時間、ルールに縛られない、“自由な働き方”を求めて会社に属さない「フリーランス」に移行する傾向があります。優秀な人材を正社員として採用することが難しい理由の1つです。
課題4.スキルの見極めが難しい
採用時には、未経験以外はフリーランスエンジニアも含めて、スキルシートという、自身がこれまでどのような案件で何を経験し、どれくらいのスキルを持っているかを表す、いわゆるエンジニア用職務経歴書を見ます。IT人材採用においてはこれが大変重要であり、採用の難易度をあげている理由でもあります。
エンジニアのスキルは、スキルシートを見て想像する範囲だけでは判断できない部分も多いのです。そのため、優秀な人材の引き抜きや、リファラる採用を行うなどして確実にスキルのある人材を確保しようとするわけです。そうしてできるだけ本人のスキルを評価して採用しても、企業の想定するスキルとは異なるケースも多々あります。エンジニアのスキルの見極めは、採用時にかなり大きな壁として立ちはだかるものなのです。
ここまで企業側がエンジニアの採用に苦戦する理由をあげてきましたが、いかがでしょうか。本記事でご紹介した内容が少しでも採用のお役に立てば幸いです。