さくらインターネット田中邦裕「働き方改革とIoTプラットフォームについて」:前編

      2017/12/06

さくらインターネット株式会社 代表取締役 田中社長のインタビュー前編です。

〇田中邦裕氏
1978年、大阪府生まれ。
1996年、舞鶴高等専門学校在学中にさくらインターネットを創業し、レンタルサーバー事業を開始。その後、2005年に東証マザーズへ上場。
2011年には北海道石狩市に石狩データセンターを開設し、2015年に東証一部に市場変更。

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さくらインターネットの社名の由来

■取材のきっかけは、田中さんの講演内容に共感して、その場でオファーさせていただきました。本日はありがとうございます!
こちらこそありがとうございます。取材すると言っていたので有言実行ですね(笑)

■最初にsakura.ne.jpというドメインが取れたのが直接的な理由とお聞きしましたが、その他にありますか?

そうですね。当時は検索エンジンがなかったので、やはりわかりやすい名前、自分がURLを打ち込んでアクセスできる名前というのは重要でした。sakura.ne.jpというドメインが取れたのもそうですし、桜は誰しもが親しみやすいですよね。

当社はレンタルサーバー事業をしていますので、お客様のホームページのアドレス、URLが我々のドメインになってくる。ということは、我々の顔はお客様の顔になるので、わかりやすくて日本的で柔らかな打ち間違えのない名前にしようというのが直接的な理由です。

IOTプラットフォームに力を入れる理由

■「データセンターサービス事業」のご説明をお願いします。

分かりやすく「サーバーインフラ事業」と呼んでいまして、お客様のデータ・サービスを当社のサーバーでお預かりして、インターネットに配信するという仕事をしています。
もう少し噛み砕いてご説明すると、一般の方はインターネットと使うにあたり、お金を払っているのが2種類あると思います。1つはプロバイダ・携帯会社などインターネットに繋ぐためのお金。もう1つはゲーム・LINEのスタンプ・ネットで切符を買うなどのサービス業者に対してへのお金。この2種類があります。

当社はどういう収入を得ているかというと、そういうサービスを提供する会社からお金をいただいています。なので、一般の方は自分でホームページを立ち上げているとかではない限り、当社にお支払いするということはあまりないですね。
流れはサービス事業者に払ったお金の一部が当社に入って来て、データやサービスを当社がお預かりし、インターネットを経由して皆様のところへサービスを届けている。仲介する様な存在だと理解していただければと思います。

■創業が1996年で、20年以上経っていますが、サーバー業界で20年というのはあまりないものですか?

そうですね。インターネットが出来たのはかなり古いですが、本格的に普及したのが1993年の「NCSA Mosaic」という画像が扱えるブラウザが出て来てからなので、93年よりも古いサーバー会社というのは多分ないと思います。片手間でやっていた会社はあると思いますが、本業としてやっているサーバー事業者はおそらく93年以降なので、96年となると相当古いですね。逆にいうと当社よりも5年以上古い会社はないと言えます。
インターネット全体で見ても、「ヤフー」が1996年の創業ですし、「Google」は98年にサービスを開始していますので、いわゆる本当のインターネット普及にあたりますから、そういった意味では老舗なのかなと理解しています。

■新たな事業・サービスへの取り組みについてお聞かせください。

まず、ここ5年ぐらい注力しているのはクラウド事業です。昔はサーバーを作るとなると、コンピュータを買って来て、組み立ててデータセンターという場所に設置する、と言った場所からスタートしていたんですが、最近は「Cloud」というインターネットの先にあるコンピュータを手軽に使えるサービスに注力しています。5年前は0だった売上が、今では一番大きな売上の割合になっています。

ただ、最近凄く伸びているはAIのビジネスですね。AIに関しては、様々な業界で使われ始めていますが、AI用のインフラはとにかく早いコンピュータが必要になっています。逆に言うと、早いコンピュータがあるといい結果が出せるということになっていますし、当社で動いている「Ponanza」という将棋のエンジンがありますが、コンピュータが早くなることで、人間に勝利したということがありました。そういった早いコンピュータを提供するというのが、当社が得意としていた分野で、それがAIによってかなり伸びているというのがあります。

そして、もう1つがIOTです。実はこの収録をしている部屋の隣でIOTプラットフォームの発表をしています。物をインターネットで繋ぐための非常にスマートで、安価で、繋ぎやすいインフラが新たに登場するということで、IOTをこれから始めたいという人にとってもメリットがありでしょうし、我々としてもプラットフォームとして伸ばしていきたいと考えています。

仕事は「働きやすさ」と「働きがい」のバランスを考えるべき

■働き方について講演で拝聴して、とても共感したところなのですが、改めてご説明をお願いします。

最近、国の方針もあって働きやすさを改善して行こうという話が出てきてますよね。働きやすさというと、労働時間が少なくなる、子育てがしやすくなる、給料が上がる、勤務体系が自由だなど様々な意味があります。
さらに、ここ20〜30年のバブルがはじけた後に、効率化を進めないといけない中で、働く人の労働環境が悪くなったという状況がありました。どんどんコンピュータ化することで、人間以上の効率化が進んでコンピュータに働かされている様な状況を感じる方も多いと思います。そういった状況で労働時間を短くしていきましょうとか、いろいろな施策が出て来ましたが、ここで注意しなければいけないことが1つあります。

それは、「働きやすさ」というのは不満を解消していくもので、「働きやすくなったから良かった」というものではないのです。もちろん給料が今よりも上がると最初は嬉しいですけど、いきなり倍になったからといって、その後ずっと上がったとしても、満足度はだんだん高まらなくなってくるという状況があります。

そこで重要なキーワードが「働きがい」です。何かを達成して褒めらる、自分ができないことができる様になった、難しかったことを達成できる様になる、様々な達成感や承認欲求を満たされていくことですね。世の中に出て、拍手喝采されるというのも承認欲求の一つでしょうし、仕事の達成感などのやりがいを同時に上げていく必要があると考えています。

ただ、今まで働きがい搾取じゃないですが、働きやすさを高められない代わりに、働きがいで補ってきたところもあるのかなと考えています。というのも、ある程度は働きやすさがなくても、働きがいでなんとかカバーすることはできると思うんですね。
例えば、私は起業家ですが、会社を作ってすぐの時は休めないし、給料も出せない状況になります。ただ、本当に自分がやりたいから、やりがいを持ってそれを実現することで、働きやすさを少なくても頑張れる時期があると思います。

さらに、私が働きがいだけでやってこられていたのは、裁量権が多かったからなのです。自由度が高かったので、給料や労働時間という「働きやすさ」はなかったんですけども、自分で何でも出来るという「働きやすさ」は高まっていたんですね。
事例でいうと、現状で給料も出ないし長時間労働だし、マニュアル通りに仕事しないといけないけども、働きがいを無理やり押し付けていく。というような外食産業が叩かれていましたけども、やはり働きやすさを考えず働きがいでカバーするというのは限界があると思っています。

■確かに、働きがいを押し付けられるのは身に覚えがあります。

働きやすさを高めていくのは当然なのですが、働きやすさだけが高まって本当はそれを達成して嬉しいとか、自分でやりたいことを成し遂げたいんだ、というところがなくなってくると、その会社やチームは崩壊していくと思います。なので、働きやすさを会社がしっかりと作っていく、というのもあるんですが、自分自身が働きがいを高めていく、そういう努力が必要になると思っています。

今日もTwitterで流れていてレスをしましたが、政治が人の幸せを高めなければいけないということが書いていました。私は幸せを高めていくのは政治の仕事ではなく、自分自身だと考えています。政治は不幸を無くしていく必要があり、学びや就職にしてもすべての機会の平等が設けられないといけないし、セーフティーネットは保たれなければならない。

ただ、不幸の延長線上に幸せはないと思いますので、お金がなくても幸せな人もいますし、不幸がなくなって自分で幸せを作れるような時代になっていく必要があります。
それと同じで、働きやすさが改善したらいつのまにか働きがいが上がるということないんですね。もちろん、働きがいだけで押し通してはたらきやすさを隠している時代もよくないと思うので、両方が高まっているのが大事だと思います。

■働きやすさは会社が提供するものということですが、さくらインターネットでの事例はありますか?

我々の中心的な価値としては、自由とか、多様だとかどちらかというとリベラルな施策です。例えば、時間が自由にシフトできるというものや育休が取りやすい制度があります。最近だと、事実婚とか同性婚とか法的に婚姻関係にない人でも、法的な婚姻関係である人と同じ福利厚生を受けられるというようにしています。

あとは、仕事の場所ですね。自宅でもいいですし、コワークングスペースとか、東京支社で働いている人が帰省中は帰省先の支社で働くとか、そういう自由度を高める施策をしています。加えて、金銭的なものが高まりすぎると本末転倒ですが、以前から有給休暇を2日以上事前に申請しておけば、1日あたり5,000円あたりでる仕組みがあります。

突発的な理由で直前に有給休暇を使うケースもあり、それももちろん認めていますが、可能であれば事前に決めて、計画的に有給休暇を取って欲しいという思いもあります。なので、当日取った人が不利益になるのではなく、事前に取った人に便益になるという考えですね。
10日間休むと5万円なので、ちょっとした旅行に行けますよね。

■それはいいですね。

あとは、残業時間をできるだけ短くした
いという思いがあります。働き方を変える前に、まず残業が減ったら残業代が減るという状況を改善しようという話になりました。
というのも、残業が短くなると収入が減るとなると、残業を減らすデメリットになるので、当社の場合は全員20時間未満でも払い切りますという制度を始めています。だいたい平均の残業時間が月で7時間なんですけど。

■月で7時間は短いですね!

そうですね。多くの人は20時間分の差額の分をもらっています。ただ、20時間を超えて働いてくれている人もありがたいわけなので、減らしたい思いがありつつも、仕事を放棄して帰ってしまうのは違った話なので、20時間を超えた時間に関しては普通に払って、20時間未満でも20時間分払っています。会社として社員にどうやって働いて欲しいのかということと、それが働きやすいことなんだという想いとともに、制度を作っているというのが現状です。

■働きがいを高めるには、自分のメンタルをどう調整すればいいですか?

やはり自分が「やりたいことをやる」というのが重要なところですね。あとは、本当にそれがやりたいことなのかと常に探すことが重要です。実は好きじゃないかもしれないけど、やってみたら実は好きだったということもありますから、本当に好きなことかを探すためにも色々な経験をすることが重要だと思います。

■Facebookを見ていて、田中さんはダイビングが趣味ということで昔からやられているんですか?

いえいえ、3年ぐらい前からですね。嫁がダイビングのライセンスをとりにいくので、じゃあ一緒に取りに行こうかと付いて行ったらなかなか面白いものだということで取りました。
自分からは重いタンク背負っていこうとは思いませんからね(笑)
何事もやってみなければ分からないというのはよく聞きますけども、やってみると広がる世界はあるので、皆様も色々な経験をして欲しいと思います。

後半はこちら

 【レンタルサーバー】田中邦裕「後悔しない起業方法と失敗事例」

是非、音声でもお聴きください!

さくらインターネット株式会社
本社:大阪府大阪市北区大深町4-20 グランフロント大阪タワーA 35F
東京支社:東京都新宿区西新宿7-20-1 住友不動産西新宿ビル 33F
設立:1999年8月17日 (サービス開始: 1996年12月23日)
資本金:22億5,692万円
上場証券取引所:東京証券取引所市場第一部(証券コード:3778)
従業員数:連結 495名 (2017年3月末)

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歌川貴之

インタビュー求人情報サイトを運営し、企業向けに販促用のコンテンツ制作をしている。個人事業主のお店から芸能人・上場企業の社長など、様々な職業1,000人以上に会ってきた。2018年に仕事と住居マッチングサイト『ジョブホーム』リリース

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